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回る回る

 コウアンの富豪レパントを仲間に引き入れるべく、コウアンの町までやってきた一行。

 しかし面会を断られたため、クリンという男の手引きでこそ泥まがいのことをやるはめになってしまった彼らは、

屋根より侵入したレパント邸にて、最悪の敵と格闘していた。

「……なあ、まだかよ?」

 疲れた声で問い掛けるビクトールは、真っ先に音を上げて壁際にもたれかかっている。

「もうちょっと、もうちょっとなんですけどねえ……」

 困り果てた様子で答えるのはグレミオ。その隣で解放軍のリーダーである少年も、額に汗しながら格闘を続けて

いる。

「もう、小一時間「もうちょっと」を続けてる気がするんだけどね」

 ビクトールの隣で腕を組んでいるのはクレオ。

「……なあ、一旦戻らないか?このままじゃいつか家の人間に気付かれちまうぜ?」

 扉を警戒しながらパーン。同じく扉の向こうを伺いつつ、カミーユも同感だと頷いてみせる。

「さっき会った、ジュッポという男を引き止めておくべきでしたねぇ」

 深々とため息をつくグレミオの足元には、巨大円盤が回っていた。この円盤の矢印部分を、向こう側の扉の前で止め

ない限り、目当てのキリンジが手に入らないという仕掛けになっているのだ。

 先ほどから小一時間、円盤を回しつづけているが、一度たりとも扉に行き着かない。他の部分に止まると、モンスター

が出てきたり宝箱が現れたりするので、最初はみんな面白半分でやっていたのだが、流石にこうも続くと飽きが来る。

 そうして最初にビクトールが抜け、カミーユが抜け、パーンが、クレオがと脱落し、結果グレミオとリーダーが果敢なる

挑戦を続けていると、こういうわけだ。

「しっかしよお、レパントって親父はことあるごとに、この厄介な仕掛けを超えて刀を取りに行ってるのかねえ?」

「きっと、仕掛けを止める手段を知っているのさ」

 パーンの言葉に、気のない口調で答えるクレオ。

「ああっ、すいません坊ちゃん。またモンスターですっ」

 焦ったグレミオの声に、しかし四人は武器を構える素振りすら見せない。一人、グレミオの横に立つ少年だけが、諦め

た表情で棍を構えた。

「おー、頑張れや」

 投げやりな応援に励まされ、どこからともなく現れたモンスターを鮮やかに倒す二人。

 続く戦闘に、彼らのレベルは着実に上がっていた……。


 結局、ようやく矢印を扉の前に止め、彼らがキリンジを盗み出すことに成功したのは、それから更に小一時間経過した

ことだった。

 後日、仲間入りしたからくり師ジュッポは彼らの抗議を受け、本拠地に作ろうとしたからくり仕掛け付きの倉庫を断念し

……てたら楽しいのになあ。


-完-

 本当に小一時間かかったんです!

 流石にちょっと嫌になりました……(;_;)

 ジュッポさん、敵のからくり人形は止めないでもいいから、これを止めていって欲しかったよ……。